こんにゃく芋は、インドシナ半島原産のサトイモ科多年生植物で、日本に伝来したのは、縄文時代だといわれています。当時は植物として伝来しましたが、後の大和時代には薬品として用いるために伝来したそうです。
食品として用いることになったのは平安時代。このころは、貴族などだけが食べられる高級品でした。庶民の口に入るようになったのは鎌倉時代以降、そして江戸時代後期に水戸藩の中島藤右衛門により荒粉・精粉の加工法が考案され、生芋に比べ1/8の軽さにできたことで遠隔地への大量輸送と長期保存を実現しました。
これにより秋から春までの約半年間しか食べられなかったこんにゃくを通年食べられるようになり、幅広く普及し現在に至っています。
こんにゃく芋の仲間は約130種類といわれていますが、こんにゃくの成分であるグルコマンナン(コンニャクマンナン)を含む種の芋は、日本と中国の一部でしか栽培されていません。中でも群馬県は国内生産量の90%以上を生産しており、池田屋で使う生芋や精粉もその大半を 群馬県から取り寄せています。
いつかは定かでありませんが中国から伝わったとされています。国内においては、正倉院の書物の中に「心天」と記されており、奈良時代には「こころてん (ところてん)」と呼ばれ食されていたようです。また宮中に御食国 (みけつくに) からテングサ(天草)を送ったという木簡も見つかっています。
この当時、ところてんは高貴な食べ物であり、庶民に広まったのは江戸時代になってからだそうです。うんと冷やしたところてんは、夏の暑い日に涼を得られる食べ物として人気があったとのことです。
池田屋の心太で使うテングサは全て国産のテングサです。ほどよい歯ごたえを生み出すため、御食国 (みけつくに) のひとつである志摩のものを主に伊豆のテングサをブレンドしています。
そして、池田屋ではところてんを3日をかけます。一日目、テングサに付いた小さな貝や微生物などの海の垢を丁寧に洗い流す。二日目、じっくりと煮だし、型に流し込み、冷やして固める。三日目、手作業で突き出す。こうやって出来たところてんは、透明度が高く、柔らかくもコシのある池田屋伝統のところてんになります。
※ 御食国(みけつくに):皇室・朝廷に海水産物を中心とした食料を納付していた国。若狭国・志摩国・淡路国とされる。
Q : 生芋こんにゃくと通常のこんにゃくは何が違うの?
生の
こんにゃく芋を原料にしたものが生芋こんにゃく。こんにゃく芋の
精粉を原料にしたものが通常のこんにゃくです。
生芋を原料にしたこんにゃくは、こんにゃく芋は長期保存できないため、芋の産地で冬季出ないと食べられない貴重な物でした。
しかも、生芋からこんにゃくを作る場合、芋によって固さや大きさが異なり、色などの品質を一定に守るのが難しく、大量に生産する工場などでは精粉から作るのが一般的です。
生芋こんにゃくには、こんにゃく芋に含まれる成分が全て入っているため、こんにゃく自体の旨みが違います。
Q : 黒いこんにゃくと白いこんにゃくって何が違うの?
元々こんにゃくは生芋をつぶして作っており、芋の皮などが含まれ黒っぽいものが一般的でした。江戸時代になり、こんにゃく芋を精粉にする技術が開発され、一年を通して食べられるようになった反面、その精粉から作ったこんにゃくは「真っ白色」だったのです。そのため、こんにゃく芋の栽培をしていない地方で、こんにゃくといえば「白」というのが一般的になったのですが、生芋からこんにゃくを作っていた地域では、真っ白なこんにゃくは受け入れられなかったようです。そのため海藻(アラメ、ヒジキ、カジメなど)を混ぜて黒くし、生芋こんにゃくに似せたというのが始まりで、
黒いこんにゃくと
白いこんにゃくがあるのです。
Q : こんにゃくの中の黒いツブツブって何?
こんにゃく芋の皮です。精粉にする際も微量ながら皮が残るので、それがつぶとして見られます。
Q : こんにゃくの成分って?
こんにゃくの96~97%は水分で、残りがほぼ食物繊維(コンニャクマンナン)で、非常にカロリーが低い食品です。この食物繊維(コンニャクマンナン)は水分を含むと膨れる性質を持ち、ヒトの体ではほとんど消化されることがなく、他の食べ物の消化を遅らせながら腸を進むので、糖やコレステロールの吸収を抑制効果があります。
Q : 心太 (ところてん) って赤色とか透明とか色が違うのは、ナゼ?
テングサ(天草)は赤色の海藻です。この状態で煮出して作ると赤色の心太 (ところてん)ができます。ですが、このまま作った心太 (ところてん)は磯の臭いがきついので、真水で洗い天日に干すという「晒し(さらし)」という作業をもって、赤い天草を緑がかった薄い黄色にし、磯の臭いをとっていきます。そして、この「晒し」を行ったテングサ(天草)で作ったところてんが「黄金色のところてん」になります。
Q : どうして池田屋さんのところてんは濁りがない“あめ色”なの?
原料であるテングサ(天草)の表面にはいろんな海の汚れがついていて、私はそれを「海の垢 (あか)」と呼んでいます。この小さな貝殻や微生物などの「海の垢 (あか)」を徹底的に洗い流しているからです。不純物を取り除き、じっくりと煮出した心太 (ところてん)は、美しく透き通り、柔らかくも歯ごたえのある心太 (ところてん)に仕上がります。
Q : 心太 (ところてん)と寒天ってどう違うの?
心太 (ところてん)と寒天、共に原料は同じでテングサ(天草)から作り、寒天は心太 (ところてん)を凍らせ、乾燥させたものです。
2018年5月24日 テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」にて「継ぐ女神」のコーナーで紹介されました。
2016年11月8日 中日新聞にて「100年企業 西三河のカイシャ」で取り上げて頂きました。
東海テレビで毎週日曜日に放送中「スタイルプラス」の東海仕事人列伝にて「ところてん職人」として取り上げて頂きました。
2003年8月5日 毎日新聞にて「詩と絵でつづる天職一芸:こんにゃく職人」として掲載されました。
明治15年の創業開始から現在に至る業歴130余年に渡る池田屋の歴史。
長年培った、手作り蒟蒻の技術と精神を受け継ぎ、厳選した国内産蒟蒻芋と天草を用いて「正直に作る」、蒟蒻と心太へのこだわり。
板こんにゃく、糸こんにゃくなどの定番から岡崎産の生芋を使用したこんにゃく。透明さが話題のところてんなどをご紹介。
工場で直販も承っております。お気軽にお越し下さい。
透明すぎると話題の池田屋の心太。水の中に入れると見えなくなるほど透明なんです。